いよいよ8月24日(火)に開会式を迎える『東京パラリンピック2020』では22競技・539種目が実施されます。競技のルールや使用する用具を知って、パラリンピックを観戦しましょう 🙂
パラリンピックの競技
<パラリンピック独自の競技>
5人制サッカー パワーリフティング ボッチャ ゴールボール
<オリンピックと競技方法が異なる競技>
シッティングバレーボール 車いすラグビー(ウィルチェアーラグビー)
車いすテニス 車いすフェンシング 車いすバスケットボール
<オリンピックと同じ競技>
ボート テコンドー バドミントン アーチェリー 射撃 卓球 柔道
水泳 自転車競技 馬術 陸上競技 カヌー トライアスロン
オリンピックにはないパラリンピックだけの競技が4つあります
・パワーリフティング
1964年の東京大会から正式競技となっているパワーリフティングは、下肢障害の選手が対象でのベンチプレスです。
障害レベルのクラス分けはなく、体重別(男女各10階級)に分かれてそれぞれ試合を行います。
ただし、切断選手の場合は切断の程度に応じて体重に重量が加算されるというパラリンピックならではの、通常のベンチプレスとは異なるルールがあります。また、競技スタイルが通常のベンチプレスとは異なり、専用のベンチプレス台を使用して脚を含めて全身が台の上に乗った状態で競技を行うのが特徴的です。(通常のベンチプレスは脚が床に着いた状態で行われます。)
競技は選手がベンチに仰向けになって横たわり、脚を伸ばした状態で上半身の力だけでバーベルを持ち上げます。試合は、まずラックからバーベルを外した後、その状態で静止します。審判の合図とともに胸まで下ろし胸上で静止させたら、再びバーベルを押し挙げます。これを1回の試技として、計3回行います。3回の試技のうち成功した最高重量で勝敗を競います。
試技の判定には3名の審判が携わります。成功の場合は白旗、失敗の場合は赤旗を上げて2名以上が白旗を上げた場合にその試技が成功となり、記録が認められるという流れです。
・5人制サッカー
5人制サッカー、別名ブラインドサッカーは、1980年代に視覚障害のある選手がプレーできるように考案された競技で、2004年のアテネ大会で正式競技として採用されました。
5人制サッカーは1チーム4名のフィールドプレーヤーとゴールキーパー、監督、ガイド(コーラー)の7名で競技を行います。
競技を行う上で公平性を保つために、4名のフィールドプレーヤーは皆光を完全に遮断するアイマスクと、衝突や転倒した時に頭部のけがを防ぐために保護用のヘッドギアを装着してプレーをします。また、試合はフットサルコートを使用して行われますが、コートのライン上に高さ1mほどの壁(サイドフェンス)を立てて、ボールがサイドラインを越えないように工夫されています。
フィールドプレーヤー以外の、ゴールキーパーや監督、ガイドは目の見える方が担います。ただし、ゴールキーパーは晴眼者(視覚障害者の対義語であり、「視覚に障害のない者」のこと)、もしくは弱視者(視機能が弱く、矯正もできないが全盲ではない方のこと)が務めます。また、ガイド(コーラー)は、敵陣のゴール裏にいて、味方にゴールの位置と距離、角度などをフィールドプレーヤーに声で伝える役割を担っています。
選手たちは、上記の3名(ガイド、ゴールキーパー、監督)の声かけと、転がるボールの音などを頼りに敵陣のゴールに向かってボールを進めていかなくてはならないのです。
ゴールボールや5人制サッカーのように、見えない状況下でプレーする選手たちにとって、味方からの指示やボールの音、相手選手の声、振動は大切な情報源になります。
そのため、試合中は選手たちが「ガイド」、「ゴールキーパー」、「監督」の指示や、転がると音が出るボール(鈴が入ったボール)の音を聞き取ることができるようにみんなで静かに試合展開を見守りつつ、心の中で応援しましょうね!
・ボッチャ
ボッチャはヨーロッパで生まれたスポーツで、1988年のソウル大会からパラリンピックの正式種目となっています。別名「地上のカーリング」とも呼ばれています。
競技の進め方はジャックボールと呼ばれる白いボール(目標球)を投げた後、赤、青それぞれ6球ずつボールを投げる、転がすなどして白いボールに近付けていきます。
どれだけ白いボール(目標球)に近付けることができるかを競い合う競技です。1番白いボールに近付けることができたチームまたは個人が勝者となります。
ボッチャは男女の区別なく障害の程度によって4つのクラス(BC1〜4)に分けられており、個人・ペア・チーム(3人)の3種目を行う予定となっています。
参加する選手によって異なりますが、障害によって手でボールを投げることができない選手には、足でボールを蹴ることや、介助者とともに「ランプ」と呼ばれる滑り台のような投球補助具を使うことが認められています。ただし、ランプと呼ばれる投球補助具を使用する際は、介助者は選手の指示に従ってランプの角度や高さを調節することはできますが、選手へのアドバイスなどは禁止されているなど、気を付けなければならないルールもあります。
・ゴールボール
ゴールボールは、第二次世界大戦で視力に障害を受けた軍人のリハビリテーションプログラムとして考案され、その後スポーツとして普及していきました。1976年のトロント大会で正式競技となり、現在まで続く伝統ある競技の1つです。
視覚障害のある選手がプレーする、パラリンピック特有の競技でもあるゴールボールは、選手の視力の程度に関係なく、選手全員がアイシェード(目隠し)を装着して、何も見えない状態でプレーをします。
1チーム3人で、攻撃側は鈴の入ったバスケットボール大のボールを相手ゴールに向かって投げ、守備側は3人で鈴の音や相手選手の足音などを頼りに全身を使ってゴールを守る競技です。
試合時間は前半後半それぞれ12分ずつあり、計24分の内、得点の多いチームが勝ちとなります。
競技中は、選手たちは目隠しをしているため周囲の景色を見ることができません。そのため、対戦相手の足音や床の僅かな振動、ボールの鈴の音などを集中して聞き取っています。競技会場は静寂に包まれていますが、選手たちの投げるボールの速さは時に時速50㎞になることもあり、またボールは重さが1.25㎏もあるため、見た目以上にハードなスポーツです。
ゴールボールは相手のゴールに向かってボールを投げる、もしくは転がってきたボールを防ぐというシンプルな競技内容がわかりやすく、また、アイシェードをするため視覚に障害がなくても、どなたでも参加できるというところに魅力を感じますね。
次回は「オリンピックと競技方法が異なる競技」をお知らせします 💡
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